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徹さんの思い出

  • family
  • 2020年4月26日
  • 読了時間: 3分


徹さんと私は同じ高校に通い、教会の少年少女会で同じ時期を過ごした仲良し仲間でした。当時の徹さんは、いつも学生服の黒のズボンに上はグリーンのジャージ、そして下駄履という出で立ちだった印象があります。

学年は徹さんが1級下でしたが、暖かい眼差しと深い知性において、ずっと年上のような感じがありました。

「君は、・・・」「君さ、・・・」と君呼ばわりされていたので、言葉のわなにはまっていたのかも知れません(笑)。


当時、どんなおしゃべりをしたかは思い出せませんが、断片的なフレーズを今でも覚えています。それは詩人のフレーズのようであり、哲学者の思考のプロセスのようであり、ロマンティストの一面を覗かせるものでもありました。


一方、素朴で茶目っ気も併せ持つ少年は、牧師の加来先生に可愛がられた人でした。

それは徹さんの人に垣根をつくらない性格からきていたと思うし、先生が徹さんが内面に持つ霊的感受性を見ておられたからかも知れないと思います。

いずれにしても加来先生に距離を置く人が多いなかで(当時先生は70歳ぐらいで髪は真っ白、著作も多い教会界の有名人でした)、無邪気に牧師室を尋ねる高校生は可愛かったに違いありません。


時々先生の説教の中に徹さんが登場しました。いまでも覚えている話しが二つあります。


高校生の徹さん、ある日教会の庭であるものを見つけ、それを持って牧師室を訪ねたようです。


その時のことを加来先生は礼拝メッセージの中で、「この前、徹が『先生!』と牧師室に入ってきた」と切り出されました。 

「見ると手にヘビを持っていて、実は私はヘビが大っ嫌いで1メートルも飛び上がらんばかりに驚いてしまったが、平静を装って『庭に戻してきなさい』と言ってその場をしのいだ。まあ、あいつはとんでもないことをする」と自分のヘビ嫌いを告白しながら声をたてて笑って話されました。

自然や日常生活からいくらでも例話(霊話)を語る加来先生でしたから、徹さんはもしかしたら、ヘビを見せたら先生の霊感を刺激するとでも思ったのでしょうか?今となってはなぞですが、ヘビが大っ嫌いな加来先生も笑えますが、ヘビを平気で触れる徹さんにもちょっとびっくりしたのを覚えています。


もうひとつは、ある日の夕拝メッセージで語られた、徹さんが西南の神学部で勉強を始めれれた頃のエピソードです。


徹から手紙が来た、と先生は嬉しそうに話し始められました。

「僕はこの頃ギリシャ語を学び始めました。以下は僕が訳したものです」と言う内容で、ギリシャ語のフレーズの次に『神は愛なり』と訳文(?)が添えられ「僕が訳しました!!」と書かれていたようです。思えば「僕が訳しました!」とは言えないほどのことです。でも加来先生は徹さんがギリシャ語から直接『神は愛なり』と読み取ったときの感動をしっかり受け止められていました。私にも感動が伝わりました。


あの頃のことを、こうしてゆっくり時間をかけ、イメージを膨らませながら思い返していると、遠くに眠っていた色々なエピソードが生き生きとよみがえり、意味を持つものとなって心を暖めてくれます。


徹さん、ありがとう!


溝口真知子



 
 
 

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